
はじめに:PDFのテキストを検索・コピーできない!困った!
PDF書類のテキスト検索・コピーができなくて困ったことはありませんか? スキャンした資料や、画像ベースのPDFは、見た目は文字でも実際にはテキストデータが含まれていないため、コピペも検索もできません。
不動産証券化マスターの過去問の問題文もコピーできませんよね?
そんな悩みを解決するのが、**Google Colaboratory(Google Colab)**を活用したOCR(光学文字認識)ツールです。このツールを使えば、無料で手軽に、お手持ちのPDFを検索可能なPDFに変換できます。私も普段の業務や個人的な資料整理でこのツールを重宝しており、その便利さをぜひ皆さんに共有したいと思います。
専門知識は一切不要!この記事では、ColabノートブックへのアクセスからOCR実行、ファイルダウンロードまで、画像付きでステップバイステップで解説します。
このツールでできること
- PDFアップロード → OCR → 検索可能PDFダウンロード
- 日本語OCRデータ(tesseract-ocr-jpn)を自動インストール
- 傾き補正・回転補正で精度向上
- 既存テキスト層の活用により無駄なOCRをスキップ
- 並列処理&解像度設定で高速化
- クラウド完結:プログラミング未経験者もセル一発で利用可能
使い方イメージ(Colab上)
このツールは、Googleが無料で提供している「Google Colaboratory(通称:Colab)」というサービスを使って実行します。Colabは、ウェブブラウザ上でPythonのプログラムを実行できる環境なので、あなたのパソコンにPythonをインストールする必要は一切ありません。Googleアカウントさえあれば、誰でもすぐに利用できます
注意事項
- セッションタイムアウト:長大PDFは途中で切れる可能性があるため、分割して処理推奨
- 利用規約遵守:機密資料の取り扱いは自己責任でお願いします
- 環境依存:Colabの仕様変更やocrmypdfバージョンアップで動作が変わる場合があります
まずは動画で解説しています(記事先頭の再掲)。
ステップ1:Google Colaboratoryノートブックへのアクセス
まず、OCRツールが組み込まれたGoogle Colabノートブックにアクセスします。リンクをクリックすると、新しいタブでGoogle Colabの画面が開きます。これは私が作成した共有用のノートブックです。
ステップ2:ノートブックをあなたのGoogleドライブにコピーする
開いたノートブックは共有設定になっているため、このままでは編集や実行ができません。まずは、あなたのGoogleドライブにコピーを作成し、自分専用のノートブックとして保存しましょう。
- Colabの画面上部にあるメニューバーから「ファイル」をクリックします。
- プルダウンメニューが表示されたら、「ドライブにコピーを保存」を選択してください。
- 補足:もし「ドライブにコピーを保存」が選択できない場合は、一度Googleアカウントにログインしているかご確認ください。
新しいタブが開き、あなたのGoogleドライブ上にコピーされたノートブックが開きます。以降のすべての作業は、この新しく開いたコピーされたノートブックで行ってください。元の共有ノートブックは閉じても問題ありません。
ステップ3:OCRツールを実行する
それでは、いよいよPDFのOCR処理を開始しましょう。コピーしたノートブック上で、わずか1クリックで実行できます。
- ノートブックの一番上までスクロールしてください。
- 冒頭にある以下のコードセル(灰色の枠で囲まれた部分)の左側に表示されている「▶(再生ボタン)」をクリックします。
- 初めてColabを実行する場合、Googleアカウントの認証や警告メッセージが表示されることがあります。「続行」や「このまま実行」などを選択して進めてください。ColabはGoogleの安全な環境で実行されるためご安心ください。
「▶」ボタンをクリックすると、コードの実行が開始されます。OCRを実行したいPDFを選択、アップロードして下さい。
これ以降、必要なシステムの準備からOCR処理まですべて自動で進行します。実行が完了するまで、このままお待ちください。
ステップ4:OCR処理の進捗を確認する
ツールが実行されると、コードセルの下に出力エリアが表示され、現在の進捗状況がリアルタイムで表示されます。
[出力エリア表示例]
▶ PDFファイルをアップロードしてください。
アップロード完了後、必要な環境設定とOCR処理をまとめて開始します。
---
(ここでファイルのアップロードダイアログが表示されます。処理したいPDFを選択してアップロードしてください。)
---
✔ アップロード完了: YOUR_FILE_NAME.pdf (ファイルサイズ bytes)
▶ **環境設定と必要なライブラリのインストールを開始します。**
日本語OCRのための言語データや各種ツールをインストールしています。
この処理には数分かかる場合がありますが、完了までしばらくお待ちください。
- システム依存ツールのインストール中...
- システム依存ツールのインストール完了。(X.X秒)
- Pythonライブラリのインストール中...
- Pythonライブラリのインストール完了。(X.X秒)
✔ 環境設定とライブラリのインストールがすべて完了しました。
--- OCR処理設定 ---
▶ 以下の設定でOCR処理を実行します:
- 入力ファイル: YOUR_FILE_NAME.pdf
- 出力ファイル: YOUR_FILE_NAME_ocr.pdf
- 既存テキストの扱い: --redo-ocr (強制的に再OCR)
- 最適化レベル (--optimize): 1
- 解像度 (--oversample): 300 DPI
- 使用CPUコア数 (--jobs): N
---
▶ 実行コマンド: "ocrmypdf" "--redo-ocr" ...
▶ **OCR処理を開始します!** ファイルサイズやページ数によって時間がかかります。
以下に進捗が表示されますが、しばらく出力がなくても処理は進行中です。
--- [OCR進行中] ---
| 処理中... (最終出力から N秒経過) <-- このような進捗インジケーターが表示されます
[OCRmyPDFの具体的な進捗ログがここに表示されます。例: Page 1/10...]
--- OCRプロセス完了 ---
OCR Process return code: 0
OCR処理にかかった時間: XX.X秒
✅ **OCR済みPDFを生成しました:** YOUR_FILE_NAME_ocr.pdf
特に「— [OCR進行中] —」のセクションでは、OCRmyPDFからの詳細なログが表示され、どのページの処理が進んでいるかなどが確認できます。また、出力が一時的に停止している間も、| / – \ のようなアニメーションと「処理中…」のメッセージが表示され、ツールが正常に動作していることがわかりますのでご安心ください。
「OCRプロセス完了」と表示されれば、OCR処理は無事に完了です。
ステップ5:OCR済みPDFをダウンロードする
OCR処理が完了すると、自動的に生成されたOCR済みPDFファイルのダウンロードが開始されます。
あなたのブラウザのダウンロード通知(画面下部や右上に表示されることが多いです)を確認してください。ファイル名は「元のファイル名_ocr.pdf」となっています。
もし自動ダウンロードが開始されない場合は、出力エリアの最後に「▶ OCR済みPDF をダウンロードします…」というメッセージの下に「✔ ダウンロードリクエストを送信しました。ブラウザのダウンロードを確認してください。」と表示されているか確認し、手動でのダウンロード操作は不要です。
まとめ
Google Colabを活用することで、高価なOCRソフトウェアを導入することなく、手軽にPDFのテキスト検索機能を付与できるようになります。今回ご紹介した手順で、ぜひあなたのPDF資料をより活用しやすい形に変換してみてください。
あなたが実行できるGoogle Colabノートブックへのアクセス方法は、**以下のnote記事(一部有料)**で記載しています。

有料部分では、実際にコードが埋め込まれたGoogle Colabノートブックへのリンクを提供しています。コピーするだけで、すぐに実行できる状態になっていますので、ぜひご活用ください。
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