本書の概略を記述し定期的に読み返すことで、本書の内容を自身の血肉としたい。
序章:問題解決とその方法論
「問題解決」のレンジを広げる
問題解決はこの5タイプに分類される。
- Trouble対応型:突発的に発生し、現状に大きな不具合を与えている問題に対応
- Problem解決型:Troublehodono緊急性はないものの、明らかに理想的な姿と現状にギャップが発生している場合
- Potential Risk 回避型:将来、TroubleやProblemを引き起こしそうな潜在的なリスク要因に対して、事前に処置を施し、その発生を未然に防ぐ
- Improvement Opportunity 追求型:現状に甘んじず、よりベターな状況を目指して行う問題解決
- Theme 回答型:他人や自分から投げらけられた心が掛かりな命題(テーマ)に対応。これまでのタイプ1〜4すべてにおいて発生。
仕事もプライベートもすべて問題解決
「うまい問題解決」に必要な視点とは、
- 個別の視点(「最もベターな解決案を創る」):質とスピードのバランスが取れた最もベターな解決案
- 全体の視点(コンスタントに勝ち星を重ねる):すべての問題を完璧に解決することはできないが、全勝は無理でもコンスタントに勝ち星を重ねる意識
- 時間軸の視点(高度化する問題に対応し続ける):昇進等のステージ変化・時代変化により、今までとは全く違った答えが短時間で求められる。
あらゆる問題解決をカバーする方法論
問題解決の共通の型(Problem Solving Routine:PSR)
- 空・雨・傘(状況、解釈、行動)
- 解読、創案、評価、選択(本質把握、解決策選択肢、費用対効果などから優劣評価、最もベターな選択肢)
問題解決ツール(Problem Solving Tools:PST)
- 論理ツール
- 仮説志向
問題解決モード(Problem Solving Mode:PSM)
- 取り組み姿勢
- ものの見方
- アタマの使い方
問題解決ワーク・マネジメント(Problem Solving Work Manegement:PSWM)
- 仕事
- プロジェクト・マネジメント
問題解決の全体観アプローチ
PSR、PST、PSM、PSWMの問題解決カルテットを実践ですぐに使うべし。順番時時間をかけてマスターするのは非推奨。
本書は、とにかく最後まで読む、何度も読み返す、実践した後読み直すこと。
問題解決ルーティーン(PSR)
初級編:空・雨・傘(状況、解釈、行動)を唱えよう
空・雨・傘で仕事が締まる
空(事実に基づく状況把握)・雨(その状況に対する自分なりの解釈)・傘(その解釈から導き出される行動)がすべての基本。抜け漏れは不完全な仕事となる。
- 【空】を見たら【雨】を思え、【雨】を思ったら【傘】につなげよ
- 【傘】の前には必ず【空】を見よ、【雨】を思え
空・雨・傘でコミュニケーション効果と効率が上がる
仕事のコミュニケーションの基本。決裁者はYES/NOの判断がしやすい。空・雨・傘が不完全なコメント報告に対しては、
- 【空】のみや【空・雨】止まりには「So what?(それで?)」と突っ込め、突き返せ
- 【空・傘】短絡や突然の【傘】の前には「Why so?(なぜ?)」と突っ込め、突き返せ
報・連・相の際、自分で解釈・判断しないと、昇進した際に自分で判断できなくなる。
空・傘・雨はどう創る?
- 【空】の下準備に事実を調べる
- 【雨】はあなた自身の責任で解釈・判断する:他人の解釈を流用しない、間違いを恐れず判断
- 【傘】は具体的に:5W1H
中級編:「それ」と「それ以外」で【空・雨・傘】を広げよう
空・雨・傘は一通りとは限らない
- 異なる空に答えが見えることがある
- 常識的な雨がベターとは限らない
- 最もベターな傘を選択する
「段取り」と「意味合い」の空・雨・傘に注意
新しい企画を来週までに考えてくれと言われたケース
仕事の段取り
- 【空】来週までに企画書提出
- 【雨】短時間で検討は不可能
- 【傘】適当に企画を検討しよう
仕事の意味合い:与えられた仕事の意図と期待されているアウトプットを意識
- 【空】世の中のトレンド、競合他社の状況を把握
- 【雨】これまでの問題点の必要な方向性を考える
- 【傘】新しい方向性にあった規格の具体案を創る
一つの問題に対して、異なる次元(段取りや意味合い等)の空・雨・傘を並行して考える必要がある。
万能薬「それ」と「それ以外」で対応できる
重層構造をとる空・雨・傘を考える際に有効
ある【空・雨・傘】を考えたならそれ以外の捉え方、解釈、行動がある。考えたアイデアに「ラベル」をつけ対極にあるものを探すことも有効。
上級編:【解読・創案・評価・選択】で精度を上げる
- 解読:経験・直感・論理的思考などを組み合わせながら、直面している問題の本当の姿(表面的な把握ではなく、問題の裏に潜む本質の理解)を把握
- 創案:解読した問題に対し、解決案をいくつか創り出す
- 評価:複数の解決案に対して、優劣をつける
- 選択:評価した解決案から、最もベターなまものを選択
【解読・創案・評価・選択】と【空・雨・傘】の関係性は
- 解読:空、雨を一体化
- 創案、評価、選択:傘を三分
まずは【解読】に力を注ぐ
解読では、情報を額面通りに受け取らず、情報の”意味合い”を読み解き、問題の本当の姿をつかむ。
本書の「解読」に相当する言葉としては、意味合いの抽出、問題定義、問題の再定義、萬田御把握、問題の本質把握、問題の全体像のあぶり出し 等の表現が当てはまる。
解読対象は3つ
- データ:数値の分析により、隠れていた意味合いを抽出。
- 人の話:本音や大切な情報が抜けていたり、バイアスがかかっているところを読み取る。
- 起こっている現象:これまでに習慣化されたまたは常識的な見方をしがちだが、違った視点からとらえる、再定義するなどが必要。
実際の問題はこれらが複合しており、それぞれを解読したうえで、これらを総合して問題の本当の姿を解読する。
解読の二つのルール
- 問題が不明確な場合、独自に解読
- 問題が明確に見える場合、それでも独自に解読
人間は以下の習性をもっており、問題を表面的・誤った捉え方をしやすい。As-Is(額面通り)はほかの解読を検討しても妥当なものが見つからないときぐらいしか使ってはならない。ラストオプションであり、ファーストオプションではない。
- 常識、経験、前例に沿って、型にはまったパターンを認識しやすい
- 目に見えやすい部分だけを問題ととらえやすい
- 多数意見・権威者の意見、印刷されたデータコメントを信じやすい
解読の3パターン
視点変更
- 立ち位置変更:ユーザー視線、経営者目線、虫の目、鳥の目。
- フィルター変更:アナロジー、統計的な見方、グラフを変える
- 言い換え:意識的に言い換え
要因特定
- 問題認識を論理的な構造要因に分解、本当の原因を突き止める。
グルーピング推理:その他の問題も組み合わせてグルーピングしながら解読。以下の理由により高難易度
- どの問題を考慮対象とするか判断する
- 重要な問題は自身が発見する必要
- 不適切な問題先手は間違った解読につながる。繰り返し試行し妥当性を検証する必要
情報を増やす前に「解読」を!
- 多くの情報収集に走るのは「答えを探す」癖のある人、解読を工夫するのは「答えを創る」意識のある人。ベターな答えは後者のほうがたどりつきやすい
- 情報を集めすぎると、情報処理量が多くなり、かえって解読がしにくくなる。
- ある程度の情報から解読を試みて、もっともらしい解読に至った時に初めて、その正しさを証明するためのさらなる情報収集を行えば、初めから情報収集るよりかはるかに効率ががよい。
したがって、情報収取はある程度のところでとどめておき、それまでに手に入った情報から独自に解読することを推奨。
【創案】では致命的な洩れをなくす
情報収集や分析は解読のために行うのであって、「答えを創るため」や「分析を行えば解決案が見つかる」わけではない。(解決案のヒントは得られるかもしれない)
創案は
- 情報集や分析から必ずしも直接的に導かれるものではない
- 解読とは全くの別物
過去の成功体験、直観の過信、部分的世界観による思い込みに注意
創案は
- 漏れのない構造:ロジックツリー
- What?とHow?の構造:Howをすることでだれが責任をもって行うかが決まる。
- OR型とAND型の構造:OR型は方向性、AND型は具体案を考える際に利用。評価ステップではOR型オプションに対する評価を行う。
あくまで客観性の高い【評価】を心掛ける
評価項目の偏りをなくす
評価項目の偏りを防ぐには、①「見えやすい項目」と「見えにくい項目」を等距離で見る⓶評価項目を論理的に隙なく固める。
①は見えやすい項目に重きを置く傾向があるため
②はメリットデメリットだけでは漠然として、それぞれについて何を見ればよいか見当がつかないケースが多いから、評価項目の論理構造を創ることが必要。
隙の無い評価項目構造が客観性を生む。論理構造が無い場合、レイヤーのばらつきやすく、漏れが確認しづらい。特に文章表現の場合程度があいまいになり、裏返し表現がでやすい。
優劣の基準を明確化
- 方法論1-基準点を定める:現状を基準(=0)とする、各オプションの中から1つを基準として使う。(基準店を決める方法は案外使われていない)
- 方法論2-目指す方向性を基準にとる:
採点の客観性・具体性を高める
- 優劣の度合いは、正負記号(++、+、0、ー、ーー)で表す
- 程度差を論理的具体的の説明する。
客観性の高い総合評価を工夫する
- ①単純総和法
- ②ウェイト付け総和法
- ③条件設定法
- ④2段階評価法
- ⑤ロジカルマトリックス評価法
があり、③条件設定法>④2段階評価法⑤ロジカルマトリックス法>②ウェイト付け総和層①単純総和法 の順番で客観性の高さ・説得力の強くなる。
解決策ごとに各評価項目を評価し数値化する。この場合、①は数値の単純総和②は評価項目ごとに重みづけをする。同一の評価項目におけるオプション間の数値差には意味があるが、評価項目間の数値差には意味がない。そのためあまりよくない。
③条件設定法はあらかじめオプションの選定条件(優先順位付き)を定めておき、その条件に最も合ったものから優先順位をつけていく方法。論理構造が組み立てやすく説得力を持ちやすい。例えば①評価項目Aが一定以上のオプションの中から②評価項目Bが一定以上のオプションを選ぶなど。
④2段階評価法は1次評価として①単純総和法でスクリーニング、残ったオプションに対して条件設定法により2次評価を行う。オプション数が多いときに使いやすい。
⑤ロジカルマトリックス法は論理的に適せな軸からなる平面にオプションをプロット、各オプションの素体的な優劣を判断。
【選択】には主観が入ると心得る
誰が判断するかによって、評価と選択の結果が必ずしも一致するわけではない。同じケースでもリスクとをとる人とらない人、同じ人でもリスクをとるケースとらないケースがある。また、人によって価値観が異なる。
つまり、リスクに対する感度、財産量、価値観などは人によって異なることから客観的な評価を行ったとしても、同じ答えを選択することはない。
単純な「べき論」を言っても始まらない。相手の意思決定のスタイルを理解する必要がある。相手の立場や気持ちの共感。
共通編:危ない「落とし穴」に近寄らずべからず
問題解決全体に潜む「落とし穴」
- 情報収集マニア:創案・評価・選択が貧弱になる
- プチ評論家:必ず代案を出す
- 短絡・ひらめき過信症:常に考え付いた内容の「それ以外」がないか振り返る
- 独善詭弁家:自論を客観的に評価する
解読に潜む「落とし穴」
- 思考停止:空・雨・傘に立ち返る
- 鵜呑み:常日頃、自分の見解、自分の判断を持つこと
- 浅堀り:ロジック問答(PST)を繰り返す
- 黒幕逃し:グルーピング推理の可能性を確認する
創案に潜む「落とし穴」
- コインの裏返し:裏返しは答えではない
- ネガティブパーフェクト:問題の根源をすべて排除すると、いずれ必要となることが養われない
- 月並み発想:必ず自分独自の発想、見解、判断を入れること
- 夢想家的机上論:どうやる課までを考える
- 部分的世界観:別の世界がないか、「それ」か「それ以外」を確認
- 得意技偏向:特異な視点のみで問題をとらえる。「金槌を使うのが得意だと、すべての問題が釘に見える」
評価に潜む「落とし穴」
- 見た目評価:見えにくいものも考える
- 曖昧評価:ロジカルな評価軸
- 恣意的評価:客観性。自分が進めたい案でも優先度が下がれば捨てる
選択に潜む「落とし穴」
- べき論:相手の意思決定スタイルやその裏にあるソフトロジックを理解
問題解決ツール(PST)
論理ツールを使いこなそう
基礎編:「洩れのない見方」を押さえる
- 「洩れのない見方」の種類を覚える
- 端的に表現できる見方を選ぶ
MECE(Mutually Exclusive & Collectively Exhaustive)
- 「個々の要素が互いに重なりあっていない」&「個々の要素を合わせれば全体をカバー」
対極オプション
- 創案ステップで、オプション創出に使う
ペアコンセプト
- ワンセット
ロジカル因数分解(構成要素に分解)
- 利益=(価格ーコスト)×数量
- シェア=市場カバー率×カバーしている市場における勝率
フレームワーク
- 思考の枠組み
「それ」と「それ以外」
応用編:論知的なツリーを組み立てる
使いどころ
- 【解読】で要因を特定
- 【創案】で解決案オプションを創る
- 【評価】で評価軸を固める
因数分解ツリー
- 財務分析、収益方程式のように数値で把握できる問題に有効
ロジックツリー
- 【解読】や【創案】で多用
- 1.当たり前の答えを考える:コインの裏返しでもいい
- 2.当たり前の答えの対極を考える:「それ(当たり前の答え)」と「それ以外」で考える。言い換えを使って、元の答え(「当たり前の答え」と「それ以外」)がどんな属性を言っているのか。(数、質)
- 3.アイデアを深堀・ズームイン:例えば人の質の観点では、能力、意欲など
- 4.ズームアウトして大きな見落としをなくす:それとそれ以外。上の例では能力と意欲は「個人」の問題、「チーム」としての問題は?
- 5.ズームアウトの視点を広げる:さらにズームアウト
ロジカル評価軸
- 論理的に漏れのないツリー構造をもった評価軸
- 1.感度の高いペアコンセプトを決める:パフォーマンス/コスト、定量/定性、ベネフィット/リスクなど
- 2.評価軸の基本構造決定:ペアコンセプトを使うって決定
- 3.評価軸を別の論理ツールでブレークダウン:MECE,それとそれ以外
- 4.評価軸を完成:それとそれ以外を突き詰める
強化編:特殊な論理ツールを使いこなす
ロジック問答
- Is that so?(本当にそうか) Why so?(なぜそうなのか)を繰り返す
パラフレイジング
- 視点を変える
進化・深化マトリックス
- 異なる問題認識を解読して整理
ロジカルマトリックス
- マトリックス軸には相互独立関係の軸
- それぞれの軸をMECEに分ける
グルーピング推理
- 情報統合謎解き
仮説志向で進めよう
仮説とは何か、どういうものか?
- ある事象に対して、その時までに得られた情報に基づいて、論理力や知識、経験、さらには直感を駆使して抄出する、その時点で最も確からしい読み・見方 のこと
- 要領よく「あたり・目星」とつけ、限られた時間内にベターな答えを得るために必要
- 仮説を立てるタイミングは早ければ早いほど良い
- 情報が乏しくても仮説を立てなければならない
- 仮説は検証・修正がつきもの
問題解決の仮説志向アプローチとは?
- 一連の仮説群を創る:PSRに沿った【解読】【創案】【評価】の仮説
- 【創案】と【評価】が一体となる、仮説をかんげる際は、その案がベターであることを暗黙的に判断しているから。
- 【解読】【創案】【評価】のマップを論理ツールを用いて創る。
- 仮説の整合性と仮説検証の段取りをシミュレーション
- そのうえで、仮説検証に取り掛かる
- 仮説群は並行して検証する
仮説志向の「マインド」
- 大きな絵を描く
- 確証バイアス:自らの予測を強めるような情報を選択・取得しやすい を捨てる
- 仮説修正による後戻りを恐れない。必要なプロセス。
- かたよらない、こだわらない、とらわれない
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